あなたが悪い、お前のせい

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夢診療所31

その31)
「どういう経緯でこのようなことが起こったのですか」
「はい、この前に僕の方が筒状爆弾を彼らの元に送ったようなのです」
「それではあなたが先に仕掛けたことなのですね」
「そう言われると状況がはっきりしないのですが、丘のてっぺんから下の方に何本もの紐が伸びていたのです。その紐の一本一本に筒が取り付けてあったのです。僕は何本もの筒を、そうやって頂上へ飛ばしました。するとやがて二人の男が眼の前に現われたと言うわけです」
「丘と筒と二人の男ですか。これだけでは何の手掛かりにもなりませんねえ」心理士の明るさは消え、深刻な表情になっていた。
「先生、いきなり暗くならないで下さいよ。今ヒントが一つ浮かびました。少し前にそのモニターに映っていた、背の高い若い男の人ですよ」
 モニターには、少し前の情景が映し出されていた。祭りか何かでごった返す人ごみの中を逃げる、その若い男をA氏は追いかけていた。
「Aさん、この男の方はご存じなのですか」
「彼は、前に働いていた会社の同僚です。一緒に倉庫の作業や棚卸しをした仲です」
「その彼が何故逃げていたのでしょうねえ。もう少し前の映像を見てみましょう」
巻き戻された映像には、エレベータの内部が映っていた。A氏の膝の上には見ず知らずの中年の女性がまたがっていた。
「何ですか、Aさん、この場面は」心理士は興奮して叫んだ。
「いや、ちょっと待って下さいよ。彼女が勝手に僕の膝の上に座ったんですから、僕を責めないで下さいよ」
「いえ、違います。あなたの潜在意識が、彼女をしてあなたの膝に座るように仕向けたのです。夢とは願望が現われたものなのです」
「はい、分かりました。僕が望んだのかも知れません」
「Aさんは非常に素直ですね。すぐ認められますね。あなたは弁護士タイプでは全くありませんね」
「はあ、気が弱くて困るんですよ」彼は頭をかいて頬を紅潮させた。
「さて、女性がAさんの膝に坐った後に、あなたが同僚を追いかけた。そして丘の上にいる人と筒状爆弾をやり取りした。全く何の関連性も浮かびませんねえ」
「え、先生ここで匙を投げないで下さいよ。これでは今日の空のように雲がかかったままじゃないですか。僕はこの雲や霧を晴らしたいんです」A氏は切実に訴えた。
「女性の箇所は単にAさんの女好きによるものだと思いますが、若い男性を追いかけた場面は、以前の会社に対する思いが尚も心の奥底に宿っている証拠かも知れません。そしてその思いが丘の上での筒状爆弾に結び付くと、その会社があなたにもたらしていた数多くのストレスが眼に見えるような気がします」
「ほう、さすが先生ですね。少し雲間から日が差して来た感じですね。正におっしゃる通りで、僕は前の会社で相当な精神的ストレスを感じていたことが、後になってやっと分かったんですよ。働いていた当時は、それが当然だと思っていたのです」
「普通、そういうものです。働いている時点で、会社から受けているストレスを切実に感じることは少ないのです。Aさんのように、会社を辞められた後に当時を振り返って、ストレスを感じていたことがはっきりするケースが多いのです。無我夢中で仕事をされている時には、ストレスに身も心も麻痺しているのが実情のようです」
「恐ろしいことですね。僕もあの会社に今でもいたなら、押し潰されていたかも知れません。転職して良かったと感じているんですよ」
「本当に良かったですね。モニターを見る限りでは、筒状爆弾は爆発こそしませんでしたが、いつ爆発するか分からない切迫感だけは伝わって来ていました。Aさんは当時、同じような切迫感の中に身を置かれていたと思うと何とも可哀そうになり、・・・」心理士はいきなり感極まって、泣き崩れそうになるのを精神力でやっとこらえた。
「僕のことをそんなにまで思って頂けるなんて、・・・」A氏もつられて感極まりそうになり、いきなり彼女を腕の中に抱き寄せたくなる欲望と必死に闘った。
その模様はすぐにモニターに映し出された。
「Aさん、また良からぬことを考えてますねえ。本当に困ったものですね」そう言いながらも彼女は内心、嬉しさを噛みしめていた。
「僕は自由に考えることもできませんよ。あなたにはモニターを通して心を見透かされているようなものです」
「とにかく夢の原因が少し明らかになって良かったですね。あまり深く悩まないようにして下さいね」
「はい、分かりました。どうも有難うございました」
夕闇を背にした彼女との別れを惜しむかのようにA氏は部屋を後にした。
  32に続く

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夢の検証353

夢の続き

次男とM君弟と坂を登っていた。二人はどんどん小さくなっていった。途中まで登ったが皆が下りて来たので流れに沿って進んだ。頂上まで行くとそこには水路が張り巡らされていた。休憩所で休んでいると西新井SのSさんが出て来て二人は自分の子だと言い出した。二人は更に小さくなり水路に落ちたので救い上げた。売店のおばさんからお菓子を買おうとしたが財布をなくしたことが分かった。でもお菓子を分けてくれた。M君弟は小さくなり過ぎて姿を消した。

検証353
かつて山登りした時に長男と次男が勝手に下山したことがある。行方不明になったかと思ったが、途中で巡り会えて良かった。渓流沿いに進むのは気持ちが良い。山の中に水が流れているのを見るとホッとする。西新井のSさんとは珍しい。

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