精神的脅威(他山の石)

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夢診療所11

その11)
(女性への憧れ)
「こんにちは。今日は口紅の色が鮮やかだねえ」
「何ですか、Aさん。今日は良いことでもあったのですか」
「いや別に何もないよ。ただ久々に君を見たんで感動してるんだよ」
「何、言ってるんですか。私をくどいても無駄ですよ。Aさんが狙ってるのは心理士さんでしょ。分かってるんですからね」
「狙ってるなんて滅相もない。僕はここに不純な気持で来てる訳じゃないんだよ。単に夢解析をお願いしに来てるだけさ」
「分かりました。こちらへどうぞ」急に冷やかになった受付嬢はA氏を奥へと導いた。
「そうプリプリしなさんな」そう言って、彼は彼女の二の腕を抱え込んだ。
「ちょっと、お客さんやめて下さい。夜の店と勘違いしないで下さいよ」彼女は叫び出しそうになった。
「分かったよ。ごめんごめん。いつでもスキンシップが大事だと思ってね」
「良く言いますよ。Aさん、少したまってるんじゃないですか」
「おかしなことを言うなよ」
「じゃ、中でお待ち下さい」
しばらくすると心理士が入室して来た。
「先生、メガネを変えられましたか」
「いえ、前と同じですけど」
「今日の先生は顔が輝いているなあ。特に瞳が輝いてるなあ」
「一体どうされたのですか。普段、言ったことのないお世辞なんか言ったりして。嬉しい夢でも見られたのですか」彼女はメガネの奥をキラリと輝かせた。
「良い夢は良い夢だったんですけどね。結局、思いが遂げられなかったんで、少しがっかりしてたとこなんです」彼は少しうなだれた。
「だから私に向かって思いを遂げようとされているのですか」彼女は少し考え込む風をした。
「いや、そういう訳ではないんです。ただ思いは遂げられる時にチャレンジしないと、結局、チャンスはすぐに逃げてしまうってことを痛感したんですよ」
「Aさん、夢で良い教訓を学びましたね。では機械をセットして始めましょう」
彼女は慣れた手際で、夢解析器のボタン操作を行なった。モニターにはゴルフの素振りをする、ショートカットで引き締まったスタイルの女性が映し出された。
「僕が声をかけようとしたのは彼女ですよ。彼女が僕に興味のありそうな素振りを見せたので、近くにまで寄って行ったんですが、僕は素通りしてしまいました」彼は声がかけられなかった言い訳を言った。
「夢でも確かに理性が働くので、あまり大胆な行動ができる訳ではないのです。夢の中で羽目をはずそうとしても普段の行動パターンがつい出てしまうものなのです」
「そうなんですよね。僕なんか普段、内気だからせめて夢の中では大胆に行動したいと思うんですが、その場になると躊躇してしまうんですよ。どうにかなりませんか」A氏は彼女にすがりつくような視線を向けた。
「それができたらノーベル賞ものだと思いますよ。夢の中で自由に行動できたら、どんな欲望でも満たされますから、願ってもないことですよね。あたしだって夢の中でなら、何度でも結婚してみたいですわ」心理士は夢見るような、うつろな表情になった。
「僕が夢を見させて上げましょうか」A氏は突然、大胆な発言をした。
「え、あなたは子持ちですから対象外ですよ」彼女はギョッとしながらも上手く切り返した。
「そうか残念だなあ」彼はしきりに頭をかいていた。
「あなたの夢の話に戻りましょう。その夢の前後はないのですか」
「ありますよ。彼女に会う前、僕は自転車をこいでました。道なき道の上を進んでいたのです。畑のあぜ道のようなところでしたね。そこが水にぬかるんで、上手く進めないんですよ。画面を見て下さい。道自体が水浸しでひどい所でしょ。僕はいつ水の中に落ちるか分からないまま、必死で自転車をこいだのです」彼は同情を誘うような口振りだった。
「最近大雨の被害が各地で出ていますよね。大洪水の映像があなたの潜在意識に働きかけたのかも知れませんね。その後、彼女と出会ったのですか」
「はい、しばらく自転車をこいで行くと、首都高の真下を走る土手に出ました。その直線道を走って行くと、大きなコンクリートの支柱の陰で、彼女は安楽椅子の上に寝そべっていました。僕が近づくと彼女は意味あり気に、こちらを見ていたのです。彼女は近所のY夫人と良く似ていたのです」
「その時、声をかけようとしたのですか」彼女は話に引き込まれていた。
「いえ、そこで場面が突然、変わったのです。画像を見ればお分かりのように、夢では場面が不連続的に変化することが良くありますよね。彼女が突然、消えたのです。僕は彼女を辺りに探しました。すると何と彼女はその場から100メートル以上手前、僕が先ほど通り過ぎた、もう一本のコンクリート支柱の横に立っていたのです。さっそく僕は自転車の向きを変え、その柱に近づきました。そしたら彼女はゴルフの素振りをしていたのです」
「そこで先の場面とつながる訳ですね」心理士はやっと納得したようだった。
「僕は彼女に声をかけられなかったんです。実は近くによるとY夫人ではなかったからです。似てはいるものの別人でした。話し掛けるきっかけを失ったのです。その後、右に曲がって一般道に出ました。そして何軒か立ち並んだ食堂の前で、何を食べようかと迷っている内に目が覚めたのです」
「それで一通り終わった訳ですね」彼女は切り上げようとしていた。
12に続く
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悪意の霊

悪意の霊

世の中には悪意の霊が多数渦巻いている。何故なら世の中には上手く行かない事が多過ぎるからである。上手く行かないと人は他人のせいにしたがるものだ。自分に原因があるとは思いたがらない。中には目障りな相手もいる。嫌だと思うとその存在自体が許せなくなる。そこで相手に対して嫌がらせやイジメが始まる。悪意の醸成である。
いくら相手に対して悪意を抱き、その存在すらも疎ましいと感じても、それが殺意に迄は至らない。悪意が凝り固まると強力な霊となり人格の中で独立した存在となる。悪意の霊は集合し易く特定な標的に対し力を集結する。集団イジメの発生である。悪意の霊は相互に補強し合い強大化する傾向にある。

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