夢解析器5

その5)
(温泉の夢)
眼の前のモニターには、岩風呂やら露天風呂やら様々な温泉の場面が映し出されていた。
「え、こんなにも僕は温泉の夢を見ていたのか」彼は思わず感心してしまった。
その内、夢の中で彼は夜間、外に出て何かを探している情景が映し出された。やがて彼の視線は小さな東屋に注がれた。その中に足を踏み入れると、脱衣所があり、そこに人影はないものの女湯らしい雰囲気が漂っていた。さらに奥へ進むと浴槽から立ち上る湯気を通して、白い女体が見え隠れしていた。
「ではこの辺で映像を止めさせて頂きます」心理士は慌てて検索を打ち切った。A氏も検索が中断されて内心ホッとしていた。
「温泉というイメージには、様々な欲望が渦巻いているのですよ。特に男性は温泉に対して、異常なまでの期待を持っているらしいのです。温泉という特殊環境の中で、思いも寄らない出来事が起こるとでも考えているようですね。本当ですか」彼女はA氏の眼をまじまじと覗き込んだ。
「はあ、僕たち男にとって温泉には甘いイメージが付きまとうことは確かです。露天風呂・混浴と来れば、うまくすれば女性の裸に巡り会えるとつい期待しているのかも知れませんねえ」
 心理士はいつまでたっても理解できない男のさがに、またもや驚きを禁じ得ないのだった。夜の闇が忍び寄る、薄暗い部屋の中で彼女はA氏の視線を強く感じた。彼女にとって、その視線は不安を掻き立てはしたが、何ら不快なものではなく、体内に心地良ささえ感じさせる刺激を含んだものであった。
6に続く

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