雨の水道検針

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夢診療所16

その16)
(現在と過去との合体)
「また来てしまいました」
「あら、こんにちはAさん。昨日もいらっしゃいましたね。ここのところ、ご熱心ですねえ。目当ては心理士さんですか」
「何、馬鹿なこと言わんで下さいよ。そんなんじゃありませんよ。僕はただ夢解析をしてもらいに来ているだけですからね。誤解です」A氏は盛んに言い訳をした。言い訳し過ぎて、却って嘘がばれるほどのものだった。
「まあ、それはそれとしまして、今日はどのようなご相談ですか」
「相談というほどのことでもないのですが、前日と関連した夢を見たもんですから、どんな意味があるのか伺いに来ました」
「分かりました。では奥へどうぞ」
 案内嬢はA氏を廊下の奥の緑の扉まで案内した。
「それでは中でお待ち下さい」
 A氏が窓の外を眺めると、目の前には超高層ビルが連なっていた。それらのビルのはるか後方に、隠れるように富士山が頭だけ出していた。空気がよほど澄んでいなくては富士山は見えない。人工的ビルにはさまれるようにして、肩身の狭い思いをしている富士山ではあった。
「お待たせしました。何をご覧になってらしたのですか」心理士はA氏が窓の外に眼をやっている姿に注目した。
「いえね、ここから富士山が見えるんで眺めてたんですよ」
「へえ、富士山が見えますか。それは知りませんでした。窓の外はビルばかりだと思ってましたから、自然に出会えるとは考えてもいませんでしたわ」彼女も目を見張るようにして、窓の外を眺めた。二人肩を寄せて外を見る内に、二人の肩から二の腕にかけて、吸い寄せられるように自然に接触していた。二人とも相手の感触をしばし楽しんでいるように沈黙が流れた。
「あら、まあ」彼女はA氏と異常に寄り添っていることに気づき、顔を赤らめ身を離した。
「あ、失礼しました」A氏も同時に気づいた振りをして身を離した。
「さ、それではお座り下さい」心理士はおもむろに仕事に入った。
 A氏は右腕に残る彼女の感触の余韻を未だに感じていた。
「Aさん、どうされましたか、ボーとして。昨日の夢はどんなでしたか」彼女は機械のセッティングをしながら、口は別感覚で動いていた。
「はあ、昨日も一昨日の続きのような夢でした」
  17に続く
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夢の中の悪霊

夢の中の悪霊

人の悪意は凝縮され悪霊となって人から独立する。今でも会いたくないのに夢にはしっかり登場する人物がいる。身体は死んでいるか生きているかに拘わらず、霊だけが独立して悪霊の如く夢に登場して来る。生きて関わりのあった時は散々苦しめられた。悪意は一方通行で発する側と受ける側が二分される。
悪意が明らさまに伝わる場合もあれば、隠れた悪意として後々影響を受ける場合がある。どちらの場合も受ける側の心には多大な傷痕を残す。その傷痕に独立した悪意が宿り悪霊として夢の中で活動するのである。それは死霊であっても生き霊であっても変わりは無い。

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