理想の女性像

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神埼良太の転機4

その4)
高校時代の悲劇
「俺は高校時代に嫌な思いを何度もした。俺の人生で一番辛い時期が高校時代だったのは間違いない。前に話したが俺の中学時代も悲惨だったから高校に期待していた。ところが入学して間もなくその期待は裏切られた。
入学早々、俺の行動に目をつけケチをつけて来たのが加藤だった。俺は奴と言い争って喧嘩をした。そこで俺が下手に出て謝ったのが運のつきだった。奴はそれ以降増長した。仲間とグルで俺に再三嫌がらせをして来た。俺はただ耐えるしかなかった。クラス全体が俺に冷たく感じられた。
やがて最悪なことが起こった。走り高跳びでベリーロールってのがあったのを憶えてるかい。俺は着地に失敗して左腕を折った。授業時間だったから当然、俺は体育教師の天野に責任があると思った。だがあれは「天邪鬼」と仇名がつくほどのへそ曲がりだった。俺に謝りや見舞いの言葉をかけるどころか逆に目障りな生徒としていじめに入った。俺が一体何をしたって言うんだ。訳が全くわからなかったよ」と良太は普段の温厚な彼とは違っていた。「天野」という名を吐き捨てるように言ったものだ。
「一体どんないじめに会ったんだい」と水沼も興味をそそられて来た。
「いじめと言ったって暴力をされた訳じゃない。腕を折ってる生徒に暴力を振るっちゃあ、皆も黙っちゃいなかっただろう。暴力よりいやらしい陰湿ないじめだった。天野はチビでヤセだが声だけは大きかった。俺が腕を折った次の日も体育の授業はあった。俺は授業前にわざわざ職員室まで行って、その日は見学する旨を伝えた。その時、天野は冷たく俺の申し入れを聞き流していた。
さて授業が始まると天野は出席を取った。俺の番に来た時、『このために授業を見学します』と言って、俺は左腕を少し上げた。すると奴はいきなり怒り出し柔道場が響くような大声で、『これじゃ分からん。はっきり説明せい』と怒鳴った。俺は少しびびったが気を取り直して『左腕を骨折したために見学します』とていねいに告げた。それで奴もやっと納得したようだった」と良太がこんなにも感情的になることがあるのかと思われるほど、その時は殺気立っていた。それを聞いていた水沼は怖気を感じていた。教師を呼び捨てにしたり、「奴」などと呼ぶとは余程その身に応えていたんだろうと思われた。
「それで終わりかい」と水沼は先を促した。
「いや、それだけじゃない。俺が見学なのにも拘らず天野は準備体操の号令かけをやらせた。普通、見学者は黙って見てるだけでいいんだ。号令をかけさせるなんて俺は差別だと感じたね。はっきり言ってそれは嫌がらせだった。奴の俺に対する言葉遣いは極端にトゲトゲしかった。「もっと大きな声をだせ」とか「号令が聞こえんぞ」とか罵声が飛んだ。そして骨折の包帯が取れるまで約二ヶ月間、俺は天野に冷遇され続けた。俺は相手が教師だと言う理由だけでじっと我慢し続けたよ。でも心の底では奴を憎んだ。ボコボコに殴りたいほど憎んだ。そして呪った」と良太は当時の悲惨な状況を思い出して目を細めた。
「その後も続いたのかい」と水沼は同情を禁じ得なかった。
5に続く

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