とにかく謝る

とにかく謝る.jpg
okutamahi.JPG
nice!(0)  コメント(0) 

良太の転機19

その19)
自分を捨てる
「初めからクリスチャンなんて人は有り得ないよ。基本的に自分を捨てた確実な経験なくしてはクリスチャンとは言えないと思う」良太は毅然としていた。
「そうなのかなあ」温子は腑に落ちない表情だ。
「何か貴重なものを得たいのなら、先ず自分から身についたものを捨てるしかないんだ。息をするのだって肺から空気を捨て去るから新しい空気が供給されて来るんだ。何でも自分に溜め込んでいたらその内パンクするよ。
神は太陽の光や空気や食物をいった恵みを私たちに用意していて下さる。同じ様に神は霊的な救いも用意していて下さるんだ。それを僕たちは気づいていない。あまりにも世の中が発達し過ぎて人間が傲慢になってしまった結果なんだ。
今は少し状況が変わったけど何年か前、日本経済がうなぎ上りに上昇していた頃、僕たち日本人は自信に溢れていた。科学は万能でしかも金さえ出せば殆どの物が手に入ると思っていた。確かに物は豊富にはなった。その分、人の心が貧困になったんだ。いつしか僕らの心に不安が忍び寄って来た。バブル全盛の頃は経済の勢いで不安はかき消されていた。ところがバブルがはじけた途端に不安が前面に踊り出て来たんだ」良太はかつての華やかな時代に思いを馳せていた。

バブル以降
「そうよね、バブルがはじけて皆なの意識が大分変わったわよね。お金がすべてじゃないって思う人が増えたんじゃない」
「『喉もと過ぎれば熱さを忘れる』って言うように一時的に人々は心の大事さに目覚めたように見えた。でも経済が多少上向きになった今は、その時の不安は忘れ去ってしまっている。また科学万能・経済最優先の意識に戻ってしまったんだ。人間の性ってのは悲しむべきものだね。良い線まで行ったと思ったら、すぐまた振り出しに戻ってしまうんだ。
今の時代、大人も子供も自分勝手で自己中心なのが多過ぎる。小学校では児童の先生に対する暴力が話題となっている。一昔前は先生に手を挙げる子供なんかいなかったよな。それが子供が授業中に先生に針を投げつけたり、先生を足で蹴飛ばしたりしている。信じられないよ。親の教育がなってない証拠だよ。道徳心のない親は子供を産む資格なんてないのさ。、
大人は大人で自尊心を傷つけられるとしゃかりきに怒る。駐車場から出ようとする車があるにも拘らず、自分が先に進入したという理由で怒り出す。出入口の途中で鉢合わせになった途端、興奮した運転手が叫ぶ、『俺が先に入って行ったのに何で出るのを待っていないんだ。俺のことを馬鹿にする気か」血相変えた運転手が相手につかみかかる。横で見ていた一人が仲裁に入る。「もう駐車場が一杯だったんですよ。誰かが出ない限り、あなたの車は入れないんです。どうかバックで戻ってもらえませんか」「初めからそう言われりゃ分かるんだ。ところがこいつは俺が入ろうとするにも拘らず、出口に突進して来たんだ。説明もしやしねえ。おい、お前、土下座して謝れ。そうすりゃあ許してやる」
こんな具合に自分が間違っていてもそれを認められず、相手に自尊心を傷つけられたことだけを上げつらって怒り狂う者がいる。
20に続く

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。