当たり前の健康

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良太の転機12

その12)
ライバル意識
「おい、何考えてんだよ」いきなりかけられた水沼の声にびっくりした良太は、はとこについて話し始めた。
「ああ、ぼうっとしててごめん、ごめん。実は急に親戚のおじさんが頭に浮かんだんだよ。整式にははとこなんだけどね。僕はその人をライバル視してたんだ。向こうは全然、僕のことなんか眼中になかったと思う。前にお前にも話したことあるけど、M自動車メーカーに勤めてたんだよ。一時は設計部長まで上り詰めて、親戚じゃ出世頭と言われてた。僕はその人、忠男さんに焼きもちを焼いていた。
僕だって一時は大学で機械工学を専攻し、自動車部に入ったこともある位、自動車が好きな時もあった。もともと模型作りが好きでエンジニアを目指していたぼくは自動車設計にも夢を描いたこともある。僕がこれから実現しようとする夢を既に実現してる人が身近に、しかも幼い頃から知っている親戚にいたとしたらどう思う」良太は言葉を切って、水沼の答えを待った。
「うん、多分くやしいだろうな。先を越されたって感じかな」水沼は当たり障りのない返事をした。
「そうなんだよ、僕は悔しかった。既に相手は社会的地位を得ている。僕は未だ勉強してる身だ。これから追いかけたって追いつけっこないんだ。仮に忠男がさんが好感の持てるタイプだったら僕は彼を目指して同じような道を辿ったかも知れない。でも僕は昔から彼には反感を持っていた。彼もぼくに反感を持っているようだった」
「何でお互いにそんな反感、持ってたんだい。どちらかが歩み寄れば良いんじゃないのか」水沼は怪訝そうだった。
「はっきりした理由がある訳じゃなかった。ただ何となく僕はあの人に対して煙たい思いを抱いていた。性格が正反対ということもあった。僕はいい加減な所があるが、彼は真面目一筋だった。冗談がきかないタイプだったんだ。自分から多くを喋らないから相手をどう見てるのかつかみづらかった。僕のおやじは話好きで親戚が集まるとよく僕の自慢をした。小学校時代は成績優秀だったんだ。忠男さんは僕に対して良い思いは抱いてないと、その頃から感じてはいた。おやじの自慢話を笑いながら聞いてはいたが、『いつか僕は社会で認められるようになりますよ』と眼の奥が異様に光っていた」
「そうだよな。お前、小学校の頃はクラス委員なんかして優秀だったよな」水沼も認めていた。
13に続く
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