夢での御言葉

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良太の転機9

その9)
教会
僕は資格をすべて否定していた訳じゃない。努力して得られた、実力を伴った資格は価値があると思う。アルバイトして痛感したのは専門的知識がないとそれなりの職業には就けないことだった。高卒では高卒なりのしごとしか割り当てられないことを実感したんだ。そこで好きなえいごに関連した仕事を目指したいと思った。そのためには英語の資格が必要だと感じていた」
「お前の言うことも分からないではないが、仕事に直結した資格なんて口で言うほど簡単には取れないし、資格を取ったからって適当な仕事に就ける訳じゃないさ」
「それでも僕は前進するしかなかったんだ。一番強く感じていたのは親に済まないという気持ちだった。大学卒業を望んでいた親の期待を裏切った僕はどうしても親を喜ばせたかった。そのためには親が納得する職業に是非とも就きたかった。
ただ資格のことで頭が一杯になり聖書から遠ざかった。それが最も不幸な事だったかも知れない。当時の僕は神の存在を信じてはいたが教会に行き、礼拝を守り、信徒と交わるほどにはキリスト教的ではなかった。僕は都合の良い時だけ神に立ち戻るご都合主義のクリスチャンだった。正確に言えば先例を受けてもいなかったからクリスチャンとも呼べなかっただろう」
「俺は宗教に興味はないし、良く分からないけど、普通どんな宗教もご利益があると聞いているけど本当なのかい」水沼は宗教に対して持つ素朴な疑問を投げかけてきた。
「キリスト教はご利益を求める宗教とは違うんだ。信じたからと言って金が手に入る訳じゃない。精神的な平安を第一に求めている。でも信者といえども一旦救われるとそのことをすっかり忘れてしまう者が多い。先例を受けたにも拘らず金銭を追い、名誉に心を奪われ、権力を志向する者がいかに多いことか。
僕は一般の人より中途半端な信者の方が何倍も怖いと思う。彼らは独善的にないやすい。僕が教会を避けてきたのは独善的な雰囲気の中に入りたくなかったからなんだ」良太は溜息をついた。
「教会が独善的っていう意味が分からないんだけどなあ。教会ってとこは清廉潔白な人だけが集まっている所だと思ってたよ」水沼は表面的な判断をしていた。
「とこらがどっこいなんだよ。教会には、それはもう各種各様の人々がいる。勿論、清廉潔白の人もいないではない。でも数は限られている。大多数は、この世の価値に未だに執着している人が多い。神の価値を信じている一方で、この世の価値も信じているから複雑な悩みが出て来るんだ」
「へえ、クリスチャンでも悩みがあるんだ」水沼はクリスチャンを大分、誤解しているらしい。
悩みの種類は違っても生きる上で悩みがなくなるなんて事はないのさ。聖書に『神と冨とに兼ね仕えることはできない』と書いてある。クリスチャンでも冨に執着している者がいる。金持ちになりたいがために神に祈ったりするのは全くのお門違いというものなんだ。
さらに地位や名誉を得ようともする。キリスト教の宗派によっちゃ、牧師の中にも階級があったりするからややこしい。我々人間、誰もが求めているのは健康と長寿だ。永遠に生きたいなんて望む者も昔から何人もいた・キリスト教が誤解されてるのは選民思想によるところも多いんだ」
10に続く

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