クラブ活動

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人生の失敗5

第5回
自我の欲求の阻害と挫折
自我が欲望に目覚め目的を果たそうとしても必ず阻害される。人間社会には資源が有限でそれを多数の人間たちが分け合っているからだ。自我は欲望を十分に果たせないままに日を過ごすことになる。
子供の欲望は日増しに高くなる。自我が明確になるにつれ欲望の種類も増して来る。他人の物を所有したいとの欲求も盗みという形で断罪される。断罪されるからこそ盗みは罪だと言うことを明確に心に刻み込まれる。
子供にもやがて支配欲が目覚めて来る。仲間を従わせたいと言う欲望だ。私は我が強かったせいか支配欲も強かった。玩具の奪い合いでは相手を泣かせたり、自分に従わない相手に暴力を振るったりしたこともある。
幼稚園に行かなかった私は近所の子供と遊んで毎日を過ごすのが常だった。その中でも一番の友達は前に出たよし君だった。彼は友達と言うより言わば部下のような存在でなすがままにされていた。その経験が私の自我を高慢にした。
小学校に入ると集団生活に不慣れな私は戸惑った。とにかく規律に縛られるのが苦手だった。しかも友達はよし君のように私に従う者ばかりではない。当然反抗する者も多い。腕力に自信のあった私はある程度彼らを組み伏せた。それでも限界があった。
私にとって最も苦手なタイプは腕力も体力もないくせに言葉だけは達者な相手だった。との中でひ弱な木幡君がいた。よたよた歩いているのに口答えをよくする彼が不快だった。ある時、廊下を歩いていた彼を突き飛ばした。彼は顔から落ちて怪我をした。
当然、親が黙っていなかった。すぐ学校に押しかけて来て、私の親は呼び出しを食った。担任教師に散々たしなめられた。そして相手の家に謝りに行くことになった。菓子折りを持ってすごすご出掛ける母親を不憫に思った。
そんな出来事が何度かあった。私は相手に腕力を振るうことが悪いと知りつつも自我を抑えることができなかった。自分の支配欲が益々強大になって行くのを感じていた。ところがある出来事により私の強大になった自我がとん挫したのだ。
5年になったある日近くに新しく出来た公園で遊んでいる時のことであった。公園の中央には山のような形をした滑り台があった。その頂上に顔見知りのKが座っていた。彼は一歳年下だった。私は何気なく「おーい、河童」と叫んだ。彼の名前を知らなかったからだ。
すると彼は突然顔色を変えて山形滑り台を急降下し、私に突進して来た。そのまま私の胸倉を掴むと殴り掛かって来た。私は咄嗟に身をかわし、彼を地面に投げ伏せた。そして彼の上に馬乗りになった。殴ることは出来なかった。自分の不用意な言葉がトラブルの原因だったことを知っていたからだ。
私はその経験でからかい半分の言葉掛けは相手に敵意を抱かせることを初めて身に染みて知った。自我を野放しにしていては今後もトラブルに巻き込まれる不安に襲われた。相手の必死の抵抗に遭って私は自我の横暴に気づき初めての挫折を味わった。
第6回に続く
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