前哨戦8

その8)
K電機と呼ばれたこの会社はT社の下請けだった。T社と言えば嘗て一世を風靡したスペース・インベーダーを生み出した会社だ。しかし、其れはずっと後の話しで当時はSIの影も形もなかった。
毎週、T社の大型トラックで空の木枠ボックスが運ばれて来た。昭和50年代はゲームと言えばアップライトが主流だった。テーブルゲームが出だしてからゲームを座ってする習慣ができたが、以前ゲームは立って楽しむものだった。
アップライトゲームとは遊園地とかボーリング場にあるような種類である。本来、射撃が主流だったが、ゲームにTVモニターが使われ出してから、其の内容は豊富になった。
K電機で組み立てられるゲーム機もメカニック物からTV物に移り変わって行った。メカニック物で今でも残っているのがクレーンゲームだ。其れ以外、当時、ジャンケンゲームと言うメカニック物があった。
ピエロとジャンケンをして3回勝つと景品がもらえるのであった。アップライトボックスの上部中央に円形の回転台がしつらえてあった。其の台の上に放射状に3枚の仕切り板が立てられていた。
ピエロは3種類用意されていて、それぞれ右手はグーかチョキかパーを出していた。円形台上の仕切り板内に中心を背にして3体のピエロが座っていた。其の円形台は音楽に合わせて回転する仕組みだった。
円形台を隠すように前面にはガラス張りの裏に小劇場のようにカーテンが掛かっていた。初め其のカーテンは閉じられている。スタートボタンを押すとゲームが開始し、音楽と共に隠れた円形台が回転を始める。
暫くすると音楽は止まり、前面パネル上のグー・チョキ・パー選択ボタンが点滅する。ボタン1つを選んで押すとカーテンが開き、中のピエロが登場する。其のピエロに勝っていればファンファーレが鳴るようになっていた。
ピエロは自分が勝つと「僕の勝ちだー」と言って声高らかに叫ぶ。負けると「僕の負けだー」と言って、しょんぼりした声を発した。其の声は今でも耳に残っている。当時、其の声は耳から離れなかった。
9に続く
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すけこまし

すけこまし

職場にすけこましのMAがいる。髪が薄い豆タンクだが女に異常に興味を持っている。女子学生が多い職場のせいか目新しい子を見付けると直ぐに声を掛ける。気に入った子にはお菓子やコーヒーを買ってくる。そして気安くなったらお茶や食事に誘う常套手段だ。最終目的は目に見えている。
最終目的を達する事は不可能に近い。同じ職場でセクハラの疑いがかかる。それなのに何故MAは女子学生に声を掛けるのか。独身の淋しさを紛らす為か。それとも女にもてる姿を見せびらかす為か。いずれにせよ、時間と金の無駄遣いに過ぎない気がする。最終目的を達成するには手っ取り早い手段を取るに限る。

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