前哨戦6

その6)
その後、大学を出る前に就いたアルバイトはパン工場が最後だ。再びパン工場だが、今回は午後から夕方にかけての時間帯だった。其の当時は既に大学には通っていなかったので其の時間帯は空いていたのである。
時期は12月に入っていた。K製パンと言い、新宿のど真ん中に工場があった。新宿の街の喧騒を膚で感じる毎日だった。其の頃はやっていた歌を今でも思い出す。‘風‘が歌った{ささやかなこの人生}と言う曲だ。
其の曲は未だにカラオケで歌うレパートリーに含まれている。どうして其の曲が感慨深いかと言うと失恋に結び付いているからである。失恋に曲が結び付くのは良くあるパターンだ。
其の工場は都会の真中にあったので非常に狭かった。従って未だオートメーション化はされていなかった。生地の作成・パン焼・包装まで人海戦術が実施されていた。
もし生地作成の現場に貴方が居合わせたなら恐らく当分はパンを食べられなくなったかも知れない。バターロールを素手で捏ねて渦巻き状にしたり、アンパンを素手で丸く形作りしていた。
其れらのパンを鉄板に乗せ、パン焼機に放り込むのであった。やがて焼き上がったパンを鉄板からステンレス板の上に移し、其れから包装が始まったのである。板から偶に転げ落ちたパンは其のまま板の上に戻された。
一部が機械化されていた梱包作業場には回転するコンベア-の上にさっき焼き上がったばかりのロールパンが雑然と転がっていた。端に二人並んだ作業員が其のパンを5個選んで袋にいれ、封をするのである。
その袋詰は大概、若い女性が担当していた。白い綿手袋をはめて無言で袋詰に取り組んでいた。偶にその場に男が加わると急に騒がしくなった。僕の同僚が其の張本人だった。
彼は余り世間を知らず、今で言う空気を読めないタイプであった。彼は手よりも口が良く動く男だったので、パンの包装をしながら隣りの女性と会話を楽しんだ。其の件でやがてトラブルが発生した。
其の作業に加わっていたもう一人の年配男性に彼は目を付けられたのであった。そしてある日に二人は口論となった。其の結果、年配男は同僚のMを殴った。耳の辺りを怪我したらしい。
私は其の現場にいなかったので事の次第を後から聞いた。Mの親までが工場に押しかけて来て責任者と話し合ったらしい。其れがきっかけとなり彼は其の工場を去ることになった。
僕も同時期に工場を去る事になった。辞める前に送別会を開こうと彼は提案した。若い女性二人とMと僕とである。彼がすべてセッティングした。僕は行きたい気もしたが、その日は当番で休む気になれなかった。
後日、Mから送別会の様子を聞くと三人で盛り上がったそうである。彼が言うには二人の内で大人しい女の子(僕も少し興味を抱いていた)が僕と話しがしたかったらしい。
その話しを聞いた僕の耳に、新宿の街角有線から流れる{ささやかなこの人生}が届いた。其のタイミングにこの曲はピタリと合い、以後、長い年月、恐らく死ぬまで僕の愛唱歌になったのである。
7に続く

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夢の検証311

夢の続き

古い家の2階に下宿さんの部屋があったが家族の部屋とは仕切りで区切られていた。
街の外れで夜店が開かれていた。遠くに明かりは見えたが遠いので引き返した。すると後から少女が二人追いかけて来た。その内の一人が取りすがって来た。前から意識して見ていたと言う。顔も満更ではないし、腰の肉もしっかりしているので結婚候補にする事にした。そして例の夜店の近くの食堂で初デートする事にした。
義父と場所の下見に行った。夜店が閉まりかけていたが、彼は強引に入って行って何か買っていた。帰りはマウンテンバイクに乗り、高校の校庭を突っ切って走った。義父は猛スピードで走り去って行った。追いかけていると向こうから棒が飛んで来たので、それを跳ね返したり?んだりした。
実家に帰るとズボンが泥だらけだった。車のバッテリーが心配だった。長男が近くで遊んでいた。

検証311
古い家は感慨深い。初めてのマイホームだからだ。最近祭りがないので夜店は懐かしい。少女に追いかけられるとは光栄だ。
義父は福島に住んでいたが原発事故の時はこの世にいなかった。福島で夜店に入ったことはなかったし、マウンテンバイクに乗った覚えもなかった。
ズボンが泥だらけになるほど外で遊べた頃は遠い昔の出来事になってしまった。

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夢の検証311

夢の続き

古い家の2階に下宿さんの部屋があったが家族の部屋とは仕切りで区切られていた。
街の外れで夜店が開かれていた。遠くに明かりは見えたが遠いので引き返した。すると後から少女が二人追いかけて来た。その内の一人が取りすがって来た。前から意識して見ていたと言う。顔も満更ではないし、腰の肉もしっかりしているので結婚候補にする事にした。そして例の夜店の近くの食堂で初デートする事にした。
義父と場所の下見に行った。夜店が閉まりかけていたが、彼は強引に入って行って何か買っていた。帰りはマウンテンバイクに乗り、高校の校庭を突っ切って走った。義父は猛スピードで走り去って行った。追いかけていると向こうから棒が飛んで来たので、それを跳ね返したり?んだりした。
実家に帰るとズボンが泥だらけだった。車のバッテリーが心配だった。長男が近くで遊んでいた。

検証311
古い家は感慨深い。初めてのマイホームだからだ。最近祭りがないので夜店は懐かしい。少女に追いかけられるとは光栄だ。
義父は福島に住んでいたが原発事故の時はこの世にいなかった。福島で夜店に入ったことはなかったし、マウンテンバイクに乗った覚えもなかった。
ズボンが泥だらけになるほど外で遊べた頃は遠い昔の出来事になってしまった。

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