人生の失敗26
第26回)
身体の不調と死の恐怖
恐らく精神的に病んでいたのだろう。浪人の重圧から何のやる気も起こらなくなった私は当時足を痛めて炬燵で横になっていた母の横で際限なく流れるラジオの音を聞き流していた。
体調は芳しくなく下痢が続いた。特にタンメンのような麺類を食べるとてきめんだった。食欲も減退し立ち上がると立ちくらみがした。医者へも通ったがあまり改善はしなかった。
自分はガンではないかとの恐怖が起こったのもその時だった。
もし限られた命だとしたら何をすべきか真剣に考えたりした。時には生きるのが辛くなり自殺を考えたこともあった。夜の海に飛び込んだらどんな気分だろうかなどと夢想した。しかし自分には到底自殺する勇気はなかった。
それは夏の暑い日だった。下痢を繰り返し水分も取らず脱水症状を起こしかけた私は目の前が暗くなった。そのまま横になり目を閉じると心臓の音だけが体内に木魂していた。身体の奥底に命の火が灯っていた。
そのとき生まれて初めて生きている実感を味わった。そして命が自然から授かったものだと確信した。それと同時に神の存在が自然と心に溶け込んだ。私は無神論から脱却できた。そして興味はその時まで避けていた聖書に向かった。
27回に続く
身体の不調と死の恐怖
恐らく精神的に病んでいたのだろう。浪人の重圧から何のやる気も起こらなくなった私は当時足を痛めて炬燵で横になっていた母の横で際限なく流れるラジオの音を聞き流していた。
体調は芳しくなく下痢が続いた。特にタンメンのような麺類を食べるとてきめんだった。食欲も減退し立ち上がると立ちくらみがした。医者へも通ったがあまり改善はしなかった。
自分はガンではないかとの恐怖が起こったのもその時だった。
もし限られた命だとしたら何をすべきか真剣に考えたりした。時には生きるのが辛くなり自殺を考えたこともあった。夜の海に飛び込んだらどんな気分だろうかなどと夢想した。しかし自分には到底自殺する勇気はなかった。
それは夏の暑い日だった。下痢を繰り返し水分も取らず脱水症状を起こしかけた私は目の前が暗くなった。そのまま横になり目を閉じると心臓の音だけが体内に木魂していた。身体の奥底に命の火が灯っていた。
そのとき生まれて初めて生きている実感を味わった。そして命が自然から授かったものだと確信した。それと同時に神の存在が自然と心に溶け込んだ。私は無神論から脱却できた。そして興味はその時まで避けていた聖書に向かった。
27回に続く