不安と自我の不在

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自我と超自我23

その23)
(昇華)
「昇華」とはエネルギーの有効な活用法です。私たちが苦境に陥った時、自我が強過ぎれば心に鬱積したエネルギーは不満や不平を連発します。そしてともすれば自暴自棄に陥ったり、苦境をもたらした相手に対する恨みや怒りとなって爆発さえします。
ところが自己中心的な自我が抑制され、生命の根源に直結した超自我が優勢な心は、湧き上がるエネルギーを建設的な作業に向けるのです。それが「昇華」と呼ばれる心の作用です。芸術家にとって「昇華」は創作活動に欠かせないものです。時として性的欲求のはけ口も「昇華」を通して、高い芸術作品に結実します。
中学時代に自我の伸長はピークを迎え、それ以降は沈静化する筈のものです。近年、沈静化し得ない自我が増加していることが問題なのです。超自我を抑え、ないがしろにする自我の台頭は恐るべき傾向です。自我には反省がなく、真っ直ぐ延びたレールの上をひたすら前進するのが常です。周りの状況に対する配慮は殆どないのです。
一方、超自我は自由が与えられてさえいれば、自我の暴走を食い止め、必ずや援助の手を差し伸べてくれるのです。超自我の助けを借りた自我は反省することを学びます。単なる一直線の路線を放棄し、時に立ち止まり、時に我が身とその行為・言動を振り返り、自己評価を下しさえします。そして自己に非を認めれば方向転換をするのも、やぶさかには思っていないのです。
方向転換を学んだ自我は百人力です。反省や自省が得意な自我こそ、現代の複雑社会を生き抜くには必要不可欠の存在なのです。失敗から真理を学んだ自我には知恵がつきます。知恵により私達は進む方向の軌道修正が出来ます。たとえ誤った方向に進んだとしても、自我は暴走せず、超自我からの指示により、立ち止まり正しい道が示されるのを待つゆとりを持てるのです。
中学時代の激動期を経た血気盛んな自我も、粘り強い超自我からの呼びかけで、柔軟な自我にも薫陶され得るのです。幼少時代から超自我の声を聞き分け、その指示に従って来た習慣が効を奏するのが高校時代なのです。
私は高校入学早々、窮地に陥りました。教室では周りが敵だらけで、しかも三ヶ月間、右手だけの生活が続きました。スポーツや趣味に没頭する手立てもなく、勉強に集中し、気を紛らわせるしかなかったのです。
解けそうな問題集を手当たり次第に買い集め、数学でも英語でも時の経つのも忘れて解きまくりました。私にとって、実はその行為は勉強とは呼べず、ゲームの延長のような感覚だったのです。最近ゲーム機でも「常識テスト」のようなソフトが出回っていますが、当時の私にとって問題を解くことはクイズであり、ゲームであったのです。
勉強は強制的にやらされると苦痛以外の何物でもありませんが、自由意志で行えば遊びと同様に楽しいものです。以前、中学受験を目指した時期がありました。結局、中学受験は果たせませんでしたが、一つだけ得るものがあったのです。算数の文章題を遊び感覚で解けたことです。個人塾の湯浅先生が手ほどきされて、鶴亀算や旅人算の楽しさを味わうことができました。
私は高校入学早々、腕を折り三ヶ月間、毎日問題集と首っ引きであった成果はすぐさま現われました。成績が飛躍的に上がったのです。それを期にクラス全員の私を見る目が変わったのには驚かされました。あれだけ「嫌がらせ」をしていたM教諭の私に対する態度も好意的な態度に変わったのです。私は人間の心の移ろい易さを感じずにはいられませんでした。
ただ一人、私を終始、陰で支えてくれていた先生が教室にいたのです。担任で数学担当の高橋先生です。私は高橋先生が黒板に描く幾何図形の証明問題に魅せられました。そして二学期初めの実力試験では、たった四題の試験を出すという奇抜さも持っていたのです。私はその内、三題を解いてトップでした。高橋先生がその結果を殊に喜んでくれていました。
超自我と協調路線を歩む自我は、窮地に陥ったとしても、決して屈したり、持てるエネルギーを破壊的に用いることはしないものです。「昇華」というエネルギーの有効活用により、怒りや不満を集中力に変え、創造的な目的達成を果すのです。

増長した自我が外部の力によって粉砕されることは意味のあることだ。自我を粉砕されることは当座は惨めで悔しいものだが後々振り返って見ると有意義な出来事であったと考えざるを得ない。自我を粉砕された際にどの様な対応をするかが問題なのである。
一時は自我を粉砕した相手に対し復讐を誓ったこともあったがそれは自分の心を荒んだものにするだけに終わった。それより復讐の気持ちを自己の向上に繋げた方が得策だ。復讐のエネルギーは多大な効果をもたらす。さらに趣味に没頭している際には復讐の思いはどこかに消えている。
24に続く

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