啓示2

その2)
「それでは救われる者は救われ、救いに与らない者はあなたを知らないまま、生涯を終わっても構わないとおっしゃるのですか」
「うん、それも致し方ないじゃろな。わしを知ろうと欲しない者に知らせようとするほど困難なことはないからの」神は諦観していた。
「神様は意外と冷めていらっしゃるのですね。私はもっと燃えている方だと思ってました」
「以前はもっと燃えておったのじゃ。それでも努力が報われないとなれば意欲は下がるものよ」
「神様にも意欲が関係していたとは知りませんでした」
「わしはイエスを最後の手段としてこの世に送ったので、その後の展開を良く考えておらなかったんじゃ」
「神様ともあろうお方が考えられないこともあるのですか」Hは少し驚いた風だった。
「わしも完全のように見えるが、完全でないとこもあるんじゃ。いかんせん人間という、ちと失敗作を作り上げたのもわしじゃからの。完璧に作った筈じゃったが、彼ら創造物にわしさえもシカとされるとは予想だにしなかったわい」神は苦渋の表情をした。
「神様でも誤算があると分かってホッとしました。神様は完璧で悪いのは悪魔だと思っていました」
「わしを完璧と見なすには当然、悪魔の存在も必要じゃった。彼らがいたからこそ、わしの負の部分をすべて彼らが肩代わりしてくれたのじゃ。人類の失敗もエデンの園での悪魔の囁きが考えられておるからの」
「その通りです。神様が創られた人間は完全だったにも拘らず、蛇の形をした悪魔が人間に悪の道を示したと信じていました」
「それはある意味、正解なのじゃよ。でも良く考えれば蛇を創ったのもわしなんじゃ。つまりわしは正義の神じゃが、悪魔の行為も管轄するのが勤めなのじゃ」
3に続く


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