夢解析器27 後編

(後編)
モニターには古そうな電池が映り、それを選り分けているA氏が急にコピー機の部屋に呼び戻された。そこには既にメーカーの修理担当者らしき人がいた。
「僕はそこで彼らにコピー機の保証書があるかどうか聞かれたのです。僕はとっさにそれは病院の事務所に保管されていると判断し、病院に取って返そうとしたのです」
「Aさんが勤務されている病院はお隣りなのですよねえ」
「そうです。目と鼻の先です。普通なら歩いて5分もかからないのです。ところが夢の中では病院とグレイスは遥か遠くに隔たっていたのです」
モニターにはグレイスを出ると駅に向かって走る場面が映し出された。
「僕は初め駅から電車に乗って病院へ戻ろうとしたのです。ところが乗ってみると病院方向の路線ではなかったのです。時間は迫っているし僕は慌てました。最後の手段として空へ飛んだのです」
「ははあ、それで一番初めの場面につながるのですね」
モニターには地面が徐々に遠ざかり空高くから下界を見下ろす場面が映し出された。海岸沿いに線路が続いているので、線路に沿って飛んで行くには左方向に大海原が視界に入って来るのだった。
「Aさん、気持ち良さそうに線路に沿って飛んでられますね。それで上手く病院へは戻れたのですか」
「実は飛んだ方向が間違ってたみたいなのです。駅が近づいたのでそこに下りてみると、全く見知らぬ駅名でした」
モニターに映し出された駅名は全く未知のものだった。駅構内は作業場になっていて、そこでは機械の調整作業が行なわれていた。その場に向かうA氏の横にはうら若い女性が連れ添っていた。暫く作業場を巡回する内に彼女はくず折れるようにA氏の首に両腕をかけ、縋りつくように寄り添って来た。その様子を間近に見た作業員の何人かは不快な表情を顕わにしていた。
「Aさん、どなたですか、この女性は。そして何故、彼女はあなたに縋りついているのですか」心理士は驚きながらもA氏を若干、責めているようにも聞こえた。
「いや、僕も良く分からないんですよ。その作業者は僕が以前、勤めていたG工業の現場で働いていた人達のようです。Hさんの顔は思い出せます。僕に倒れかかって来た女性は当時、同じ職場にいたTさんに似ています。華奢な体つきがそっくりです。彼女は一時、僕に気があったらしいのです」
「それはAさんの思い込みではなかったのですか」心理士は疑いを差し挟んだ。
「そうじゃないですよ。僕だって若い時にはモテたんですって。彼女が僕に興味を示した素振りを見せたこともあったんですよ。そんな思いが残っていたのかも知れません。僕は彼女が夢で寄り添って来るのを快く感じていました」
「嫌ですねえ。鼻の下を長くして」
「僕らの様子を見ていた仲間の何人かは良い顔をしてませんでした。その中の一人は早く外へ出てけとまで言ってたのです」
「職場でそんなことをされたら誰だって不快になるでしょうねえ」
「僕は外に出て途方に暮れました。その駅は何と伊豆半島の先端近くにあったのです。僕はそんな所まで空を飛んでいたのです」
「それから病院へは戻れたのですか」
「いえ、戻ろうとしたところが夢から覚めました。不思議なことに夢を見た時間は10分程なのです。夢の中ではもっと時間が経ったように感じました。一旦6時に目覚めて寝直した結果、こんな夢を見てしまったのです」
「二度寝して夢を見ることは多いようですね。あなたの心の不安は仕事に関連していることが多いようですね」
「それでは空を飛んだのはどうしてですか」
「それはAさんが自力では解決できない局面に遭遇してすべてを天に任せたってことではないでしょうか」窓の外は夕焼けに染まっていた。

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精力の発散

精力の発散

局部に精力が溜まって来ると世の中がバラ色に見え始める。女性は誰もが綺麗になる。胸の膨らみや腰のくびれがやたらに目について来る。その精力を他の対象に振り向けようとしても無理である。若い頃は振り向ける対象が沢山あったが年を取ると対象がなくなる。
盛り上がった精力は効率的に発散させるしかない。気をそらして発散を先延ばしにしても精力が消滅する訳ではない。どんな手段を持ってしても発散させるのが手っ取り早い。折角なら一番身体に喜ばしい方法で処理したいものである。精力の発散には魅力的な相手が不可欠なのである。

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