夢解析器26 前編

前編
「こんにちは、久しぶりです」A氏は秋の空のようにすがすがしい声で入って来た。
「Aさん、こんにちは、本当に久しぶりですねえ。お元気でしたか。心配してましたよ」
「いやあ、僕のことを心配してくれる若い女の子がいて嬉しいなあ」
「朝晩、冷え込んで来ましたから、お身体には充分気をつけて下さいね」
「有難うございます」
「昨日はどんな夢を見られたのですか」
「いや、かなり恐ろしい夢でした。恐ろしさのあまり飛び起きてしまったぐらいです」
「そうですか、それは深刻でしたね。ではどうぞ奥へ」
受付嬢はA氏を廊下奥にある緑の扉へと案内した。
窓の外には雲一つない秋空が広がっていた。やがてノックの音と共に心理士が入って来た。
「あらAさん、お久しぶりですねえ。元気にしてらっしゃいましたか。どうされてたのか心配してたんですよ」そう言いながら彼女はA氏の横に擦り寄って来た。二人の腕から腰にかけて快く触れ合った。
「先生まで僕のことを思っていてくれて感激だなあ。この青い空みたいに僕の心は急に晴れ晴れして来ましたよ」そう言いながらA氏はそっと右腕を彼女の肩に回した。
「さあ、そろそろ始めましょうか」心理士は切り換えが素早かった。
彼女は手際良く解析器をセッティングして行った。
「Aさん、昨日は夢を見られたのですね」
「はい、恐ろしい結果の夢でした」
モニターには数人の若者達がサッカーをしている様子が映し出されてた。A氏もそのメンバーに加わり、攻撃する側に回っていた。
「僕は初めなかなかシュートが打てなかったのです」
「前に立ちはだかっている方がいますね。どなたですか」
「名前は良く分からないのですが、僕がシュートをしようとすると邪魔をしたり、シュートに失敗するとほくそ笑んだりする嫌な相手だったのです」
「あなたを執拗にマークしているようですね」
「そうです。僕は彼のマークを払い除けようと意を決しました。そして積極的にボレーシュートに係わるようにしたのです」
A氏のボレーシュートが見事に決まり出した様子が見て取れた。先程の邪魔をした相手のマークを上手く外し、続けてシュートが決まるようになっていた。
「Aさん、調子が出て来ましたね。連続でいくつもシュートが決まっているではないですか」心理士もA氏の活躍に見とれていた。
「ところが僕は少し調子に乗り過ぎたようなのです」
「どうされましたか」
「良く画面をご覧になっていて下さい。もう少しで始まります」
右から高いロブが上がり、着地寸前のボールをA氏の右足がジャストミートした。それは弾丸のようなスピードでゴールポストの中を通過した。ところがボールの勢いが強過ぎて道路を隔てて向こうのビル目掛けて飛んで行ったのです。その瞬間、「ガシャーン」という大音響と共にM銀行の大きな窓ガラスが砕け散った。
「あっ」とだけ心理士は叫び声を上げた。
後編に続く

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夢の検証319

夢の続き

女の子5人に配るのに魚が必要なので取りに行った。横浜から家に帰るのに地図が要るのでG工業の事務所で何枚も拡大コピーをし貼り付けた。家の前には森君がいて最近、桜町高校から玉川高校に転校したと言っていた。偏差値を尋ねると要領を得なかった。

検証319
女の子が5人もいるなら魚を取りに行くのも楽しいことだろう。昔は車を運転していて良く道に迷ったものだった。ナビが出来て本当に便利になった。G工業の森君とは製造部門ではライバルだった。偏差値には何の意味があるか分からない。


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