良太の冒険12

その12)
(足立教諭)
良太にとって足立教諭は母親のような存在だった。過ごす時間から言えば、母親以上の存在だったかも知れない。小学校5年間、同じ先生だったことも珍しい。彼女は入学当初から良太の非凡さに目を付け、養い育てて来た。
ところが、やがて彼女は良太の特異性に気付くことになる。彼は知能・体力的に全く問題はないのだが、情動面で問題を抱えていることが明らかとなった。良く言えば独立心が強く、自分のことは何でも一人でこなした。悪く言えば、集団行動が苦手で枠から外れることが多かった。学校側としては扱いづらい子供だったと言える。
低学年の時は蜜月状態が辛うじて保たれていた二人の関係も、高学年になるに従い、亀裂が走った。それは良太の性格からすれば、当然の帰結であり、入学早々から予期されていたことではあった。
鋭い亀裂が入るのを上手く抑えていたのは、良太の足立に対する憧れだった。当初、母親としての温かさを感じていた彼の心に、もう一つの感情がいつしか芽生えた。心の片隅で彼は彼女を女として見ていた。母にはない胸の膨らみが足立にはあった。
夏が近いある昼下がり、給食が終わって、足立が座る教卓の周りには子供たちがたむろしていた。彼女は本を広げ、子供たちにその内容を語り聞かせていた。良太も気になり、正面から教卓に近づき、その本を覗き込んだ。
次の瞬間、彼の眼に飛び込んで来たのは、本のページではなく、大きく襟元が開き露わになった足立の胸の膨らみだった。白のブラウスから覗いた、彼女の豊満な胸の谷間を見た時、良太は気付かれないように、さらに身を教卓の上に乗り出した。そして本のページを見る振りをして、彼女の襟元からさらに奥を覗き込んだ。教卓の角が彼の股間に当たり、快い刺激が全身に走った。彼はそのまま股間を机の角に押し付けながら、彼女のブラウスの奥を想像し続けた。その時、チャイムが鳴り、快い刺激と彼の想像は影と消えた。
性的対象にまで高まった足立を、良太から引き離すように立ちはだかって来たのが山口だった。良太は山口に対し、学力面と手の器用さの面では勝てる自信があった。ところが体力面や性格の良さでは対抗できないと考えていた。体力面で敗北を喫した手痛い出来事があった。
13に続く
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