サラ金の親分4

その4)
「ほう、そう言われれば身体を作ることはできんし、怪我を治すこともできんの。すべて自然のなせる業じゃからのう。自然の恵みと言えば、空気・水さえも神から無償で与えられたものじゃな」親分は納得した様子だった。
「親分はさすがに飲み込みが早いですねえ。そうなのです。私たち自身を含め、周りのものはすべて神様からの授かり物なのです。それを先ず感謝しなくてはいけません。神の恵みを当たり前と思うことが、そもそも罪なのです」
「はあ、わしが罪を犯しておると言うのか。冗談じゃない。罪と言やあ、法定金利を上回った貸し付けをしてる時にゃ多少、罪の意識は持つわな。何せ下手をすりゃあ刑罰を受けるからのう。でもわしゃ罰を受けないことにゃ、罪など感じたことなどありはせん」親分は口角泡を飛ばした。
「それが親分のそもそもの間違いですよ」Qも後へは引かなかった。
「黙って聞いてりゃあ良い気になって。親分のことを罪人呼ばわりしたり、親分の間違いを指摘したり、お前は何様なんだ。タダじゃおかねえぞ」子分たちは急に騒ぎ出した。
「まあ、お前たち静かにせんかい。わしも神に対しては今まで間違いを仕出かしたことに少し気づき始めた所じゃ。心が溶けて来た感じがしてたのじゃ」
「神の存在を実感しておられるのなら、後は神と正常な関係を取り結び神との対話を復活させれば良いのです」
「それはどの様にすれば良いのじゃ」
「イエス・キリストを仲介者として立てるしかないのです」
「おお、ここでイエスとやらが出て来る訳か」親分は急に浮かぬ顔になった。
「そうです。私たち人間は神に借りがある上に今まで裏切ってばかりいました。その罪をあがなってもらうにはキリストと言う仲保者がいないと無理なのです」Qは決然としていた。
「わしが一人で神の前で懺悔しても許してもらえんということじゃな」親分は尚も問題を自力で解決したいようだった。
「その通りです。もしあなたに100万円借金している者がいて20年間、借り続け利息を含め500万円になったとします。その内50万円だけ返して、許してくれと言われてあなたは彼を許しますか」
「いや許さんよ」断固とした答えだった。
「神も同じです。私たちには命という金銭には替えられない授かり物があります。命に対して感謝の意を表わし、それを贖うには死んで命を捧げても不可能なのです。私たちが生きた年間の利息は支払うことができないからです」
「するとわしはどうすれば良いんじゃ」親分は少し弱気になった。
「あなたのためにイエス・キリストが身替わりとなって十字架上で死んだのです。その死によって私たちは神から魂を抜き去られずに済んだのです。神に最も近いイエス・キリストが自分の身体を張って執り成してくれたおかげで、私たちは身体を神に返さずに済むばかりか、永遠の魂まで手に入れられるようになったのです」
「イエス・キリストがわしのために身体を張ってくれたのか」親分は暫し感慨に耽っていた。
「そうです。イエス・キリストは人類のために、そしてあなたのために身体を張って犠牲となったのです」
親分は人のために身体を張る意味が良く分かっていたので、その時、心が熱く燃え上がるのを感じた。そこでイエスに個人的な興味を覚え始めた。
5に続く

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